座談会archive


東「これより平成callingの座談会の方を始めさせていただきます。

 

私、平成Calling主催メンバーの東遼太と言います。今回平成Callingの座談会ということで、まず最初に主催メンバーのみんなに前に出てもらってどういう企画の意図があったのかという、経緯の話をしたいと思います。 簡単に平成callingがどういう形で企画したかという話を、私、東から説明させていただきますと、まず平成Callingということで、「平成最後の〜」みたいなものが最近、流行っていたりしているのがまず最初にあって、決して平成で固まろう、閉じこもろうっていうことをしたいっていう訳ではなく、平成って限定するとアンダー30、30歳以下の作家が集まり、何か括りを作って作品を集めた方が良い提示になるのではないかということで平成Callingを作りました。それでは主催メンバーを順に簡単に紹介させていただきます。」

東「私、東遼太は大学の時から実写系の映像を作っていて、主に個人制作の実験映像であったりとか、個人映画のあたりを制作して、卒業後も制作し続けています。」


梅岡「梅岡と申します。平成Callingの立ち上げをこの4人でやったうちの一人なんですけど、ぼくは今回、映像作品を出品しているんですけど、普段は裏方として活動しています。主に舞台の映像だったり、ライブの音響をやったり、映写などをしています。同時にメディアアート作品の展示もしています。」

 

片岡「主催メンバーの一人の片岡拓海とです。京都精華大学を去年卒業しまして、今年就職して大阪で働きながら、作品制作を続けています。Aプログラムで上映したんですけど、文字を使った作品だったり、実写の短編映画を作ったり、映画祭に応募するということを目標に一年に一本は制作しています。また学生時代からLumengallery で上映していただくこともあって、この上映企画に携わっています。」

 

宮崎「宮崎です。主催の一人なんですけど、ぼくは日本大学芸術学部映画学科を卒業して、現在は京都精華大学の大学院に所属しています。そこでも映像を勉強しているんですけども、主に60〜70年代のアンダーグラウンド・シネマの研究をしています。今回はCプログラムで『ANIMA』という作品を上映させていただきました。2018年の5月からLumengallery に携わらせてもらって、色んな作家さんの作品を見させてもらったり、PFFやImage Forum Festival の会場になったり、またこういう企画を彼らともできたりすることで個人的に嬉しくて、その中でも競い合ったり、向上心が芽生えるような、そういう環境があって、楽しい日々を送っています。」

 

東「このように4人の作家が集まって、平成Calling を企画しました。みんな個人映画や実験映画だったりしますが、微妙に違っていて、片岡君はアニメーションが入っていたり、梅岡君はメディアアートに傾倒してたり、宮崎君はショートフィルムの繋がりが強かったりします。そして各々、自分が間違いないと思う作家の方に作品を出していただくという形で平成Callingは成立しています。本日、平成Calling に出品してもらった作家さんにゲストとしてご来場していただいているので、ご登壇した上で、ここからも話を進めていきたいと思います。では前の方にお願いします。

まず最初に今回参加された作家さんの自己紹介やどういうことをされてるのかということをお話していただきたいと思いまして、出身、作品のジャンル、制作スタイル(例えば、年にいくつ、どういう状況で制作しているのか)、そのあたりの話を聞けたらいいかなと思います。片岡君と野村さんは先程Aプログラムで上映されたので、解説も挟みながらお願いします。」

 


 

片岡「大阪出身で京都の大学を出て、働きながら制作している感じなんですけど、卒業後も作品を作り続けていくのが難しくなる中、頑張って作っていくのを目標にしています。作品の解説なんですけど、まず『Re-cut』という作品なんですけど、これは元々、文字というのが声とか意志だったりを刻んでいくものであったということから、紙に書く筆の動きに刃物の音を重ねて、さらに書いた文字をハサミで繋いで行って、さらに撮影し、編集をするという考えで作りました。筆の動きを見せながら、そこに注目しながら作った作品です。二番目の『叫び』っていう作品ですけど、これは今まで作った文字の形の面白さだったり、筆の動きの滑らかさに着目して、作っていたんですけど、文字を使って作品を作るということで、意味ということをこれから表現していかないとダメだなということで作り始めたんです。ですが、やはり文字を使って表現するというのは直接的になってしまって、映像作品として考えると解釈の余地があんまりなくなってしまうのではないかと思ったのと、自分の中で作品にするぐらいの強いメッセージみたいなものがないのではないかと思いました。なので文字を使って表現することの良さそのものを抽象的に表現する感じで制作しました。」

 


野村「東京で映画を撮っている野村奈央です。Aプログラムの『道子、どこ』の監督です。私は基本的に東京で活動してるんですけど、大学を卒業して、フリーランスで映画を撮っています。ジャンルは劇映画で、MVも仕事でやったりしていて、基本的に映画を作っています。『道子、どこ』は見た通りなんですけど、基本的に一人の女の子を撮ることをしていて、今作も大袈裟ではあるんですけど、とろろアレルギーなんだけど、とろろ大好きなパンク少年を大好き

である自分であろうとして、マインドコントロールして、彼のことを好きなんだけど、彼がいなくなった部屋は何の意味もなくて、空っぽの部屋になったと思って、彼だけを愛してると思うと、愛しているわけでもなく、自分の最大欲求を満たしてくれる相手と部屋があっただけで、色んな男がいたけど、空っぽになった部屋で「あ、まずい」っていう感情だけは本当だよねみたいな映画です。不気味な笑いみたいな。そんな感じです。」

 

さとう「さとうゆかです。出身は北海道で、生まれは札幌で高校まで過ごしていたんですけど、大学に入ってからは電車で40分くらいの岩見沢というところに住んでいます。作品はDプログラムで上映する『had lived』という作品で、自分の作品はアニメーションばっかり作っています。版画技法を使って、消しゴムはんこだったりとかステンシルとかを使って、作品を作っています。たまに食べ物のコマ撮りをしています。」

 

伊藤「Bプログラムの『REAR』を制作した伊藤仁美です。出身は名古屋で、ずっと名古屋で制作しています。私は普段、ボーッとするときのことをテーマに映像だけではなく、映像と何かだったり、色んな形態で作品作っています。今は卒業しているので、バイトしながらアトリエが2つあって、そこを行き来しながら、作品を作っています。」

 

丹羽「Eプログラムで『MY GIRLS COLLECTION』という実験的アニメーション作品を制作した丹羽彩乃と言います。出身は名古屋で、そこから大学、大学院までは東海地方に居たんですけど、新卒で関西に就職したタイミングで、今はフリーランスで働いています。モーショングラフィックとかモーションデザインとか仕事を受けながら、制作活動をしています。普段はグループアニメーションとかSNSとかで単発で見れるような、1日でひとつ制作できるような効率の良いアニメーション制作について考えています。」

 

 

具志堅「具志堅です。Bプログラムの『ミキキキキミミ ニセンジューキューネンニガツ』を出品しました。沖縄県出身で、25歳ぐらいまで沖縄にいて、そこから岐阜の大学院に行って、今もいます。普段は音の作品を作っていて、展示がメインでこの作品のように映像作品も作っています。今作は音のループを聴いていると、聞こえが変わってくるんですけど、オノマトペを点滅表示して、音体験を操作することを試みた作品です。音を聴く体験は直接共有はできないんですけど、オノマトペとタイミングで音体験を共有することができたらと思って、作っています。これは僕だけが聴いた音をオノマトペにしていて、僕の耳の記録でもあるので、この作品のシリーズは日付を入れて、使い回しはなしで制作しました。」

 

東「ちなみにオノマトペというのは?」

 

具志堅「オノマトペというのは様相を表す擬態語、音を模倣した擬音語のことを言いますが、今回は擬音語を言葉に変換したものです。なので、音を51ビットに変換したようなものかなと思っています。」

 


 

東「それでは皆さん自己紹介をしていただいたということで、平成calling に参加していただいた作家さんは精力的に活動されていて、これまでの映画祭や上映展などの外での活動が多かった作家さんが今回、多いと思うんですけど、どういう映画祭や上映展に出品したのか、それが一体どういうものだったのか、簡単に説明してもらえたらと思います。」

 

具志堅「僕は音の作品なので、展示が多いのと、映像作品を作る人に頼まれて音楽を作ったり、変な楽器を作ることが多いので、上映祭みたいなものに参加したことがないんです。「展示あるんだけど、やらない?」みたいな独自企画に声をかけられたら出品するというような感じでやっていて、あんまり賞レースみたいなものは…作風がお金にならないっていうのはわかっているので、あんまり賞レースには出していなくて、仕事はちゃんとしつつ、ライフワークとして作品を作っています。この作品は修士作品なんですけど、ICC(NTTインターコミュニケーションセンター)というメディアアートの美術館があるんですけど、そこの若手紹介コーナーに目が止まって、3ヶ月間、個展をさせていただいたんですけど、今作はそこで「2018年5月」版として展示したというような経験はあります。」

 

ICCオープン・スペース 2017 未来の再創造

エマージェンシーズ!031具志堅裕介《ミキキキキミミ》

http://www.ntticc.or.jp/ja/exhibitions/2017/emergencies-031-gushiken-yusuke/

 

丹羽「去年一年間は修士作品で最後インスタレーションで卒業したんですけど、上映形式の作品から、どちらかというと椅子に座って、始まりがあって終わりがあるという上映形態に対する疑問を修士課程の時に考えた時があって、始まりもなく終わりもないアニメーションということで、ループアニメーションに今すごく興味を持ち始めて、去年一年間は上映形式のものを作らずに、ディスプレイに映して、タブレットで鑑賞するようなアニメーションを作っていました。直近だと神戸の甲南女子大学というところで個展をさせてもらったことと、自主制作・自主企画のもので友人と企画してというのがほとんどで、今のところコンペとかに個人的に関わったことがあんまりないということがあります。」

 

第8回甲南女子大学メディア祭 niwa ayano「for the light surface」

https://www.iamas.ac.jp/activity/for-the-light-surface/

 

伊藤「私はコンペとかはあんまり出したことなくて、私が作っている作品は私自身というか個人的なところから出発していて、変わっていったりします。京都だと上映が多いんですけど、東京とか名古屋でやる時や、声かけてもらったところで、展示を一緒にやる人と、制作を共にしたり、経験が多いです。展示の方が私も多いと思います。」

 

さとう「私はコンペはいっぱい出していっぱい落ちてるんですけど、たまに引っかかる時があって、そういう時に上映してもらってます。海外だとオランダとかスロバキアとか、Lumengallery のVIDEOPARTY という上映企画で台湾でも上映してもらったりしてます。コンペの応募はやれる日とやれない日があるので、やる気がある日にいっぱい送ったりします。海外とかはウェブで応募できるので、すごく楽なんですけど、国内のはDVDを郵送で、というのが多いので、逆にめんどくさくて出さなかったりします。あとは個人で上映会を企画したり、他の作家の作品を上映したりとかしています。」

 

野村「私は武蔵野美術大学の出身なんですけど、卒業制作として『からっぽ』という作品が去年のPFFでエンターテイメント賞を頂いたのと、田辺・弁慶映画祭でTBSラジオ賞をもらって、去年のクリスマスに東京のポレポレ東中野という映画館で劇場公開させていただいてます。他にはテアトル新宿などで上映も決まっています。東京に来る機会があったら、見に来てください。地方の映画館で上映できそうなので、また何かあったら告知します。」

 

片岡「僕は作品の制作を頑張ろうと思ったのが、二年生の時にImage Forum Festival に応募して、それが一次審査通過して、東京で上映してもらったのがきっかけで、自分で応募したら観に行きたくなるし、そういうところできっかけになって、刺激にもなります。なのでImage Forum Festivalはいつもそこを目標に作っていて、『翳浪』っていう作品はImage Forum Festivalの京都会場で上映してもらって、東さんの作品とかと一緒に上映しました。また実写のコンペが多いので、そういうのにも応募したいなと思って、PFFにも応募できるようにと思って、短編映画を作っています。やっぱり応募して、単純に入選して上映してもらったら、色んな人に見てもらえるんで、さとうさんと同じようにいっぱい応募して、いっぱい落ちているというような感じです。」

 

イメージフォーラム・フェスティバル2018 関西エクスペリメンタル新作展2

http://www.imageforumfestival.com/2018/program-v2

 


 

東「作家側から見ても、お客様の側から見ても、皆さんが何をしているのか、というのがわかってきたので、ここでクロストーク的に登壇している人間同士で聞きたいことがけっこうあるかなと思いまして、ジャンルも違えば、場所も違うということで登壇者同士だったり、主催者側に質問したりなどできたらなと思います。いかがでしょうか?」

 

さとう「具志堅さんの話したことで変な楽器って言ってたんですけど、一体どういうものなんですか?」

 

具志堅「たまにライブをすることがあるんですけど、その時に向けて、音がなる状態のものを作ったりしています。最近はプラスチックの野球バットに切り込みを入れて、振ったらポーンと鳴ったりする楽器を作ったりしています。」

 

さとう「すごいですね。面白そうです。」

 



宮崎「ショートフィルムの作品の補足をさせていただきます。今回の平成calling なんですけども、ショートフィルムが1つのプログラムに1作品以上はあると思うんですけど、僕は日芸の出身で、登壇している野村さんも元日芸で…」

 

野村「そうなんです。日芸に三年生までいて、同じサークルだったんだよね?」

 

宮崎「そうなんです。Aプログラムの野村さん、『春みたいだ』のシガヤさん、Cプログラム『SEN TOE』の江田さん、Dプログラムの『阿呆の舞』の坂田さん、と僕は日芸の自主映画サークルで一緒だったんです。とてもアクティブな作家ばかりいて、白熱したサークルだったんですけど、現に蓋を開いてみれば、野村さんのように、PFFで賞をもらえるような作家が多くて、また自分の作品を劇場公開していて、映画監督を目指す作家が多かったような気がします。Dプログラム『妖怪ドキュメント三部作』の石川さんは僕と同級生で彼はドキュメンタリーにすごく関心を持っていて、平野勝之やバクシーシ山下などのAVドキュメントを挙げるようにフェイクドキュメンタリーの構造を持つような作品を自作として発表したりしています。Bプログラム『食べる虫』の金子さんは京都に来て初めて紹介してもらった友達だったんですけど、彼女も『21世紀の女の子』という映画が公開されて、2019年2月8日から全国で劇場公開されています。2月23日から京都の出町座の方で公開されることになりました。そういったショートフィルムの作家達にもLumengallery で上映したくて、商業で活躍するような、個人的に尊敬している人たちが多いので、こうやって紹介できる場があればいいなと思って、平成calling のプログラムに入れ込みました。

 

それで野村さんに質問なんですけど、2018年度のPFFの中で武蔵野美術大学の出身の方が3人ほどいたと思うんですね。武蔵野美術大学の状況というか、あまりドラマでは聞かなかったので、どんな感じだったのか聞きたいです。」

 

野村「武蔵野美術大学はかなり実写の劇映画を作っている人は少なくて、ゼミもいくつかあるんですけど、今回はPFFに入選した子は全員同じゼミの子で3人いました。ヴィデオアートとかサウンドアートとかそういう人の方が多いですね。三年生の時にみんなで映画を一本作る授業があったりして、今作もデジタルドラマ制作という授業の中で作った作品なんですけど、短期間で作るみたいな。だいたいはゼミ形式で進んでいて、私が卒制で『からっぽ』を作った時も、企画100本ノックみたいな、企画100個出さないと撮るものを決めちゃいけないとか、けっこうスパルタな感じでした。だけど全員が監督なんで、日芸みたいに撮影コースとか録音コースとかはないんで、作品1つに時間かけるよりも、「どんどん撮れ!」スタイルなのかなという感じでした。」

 

さとう「全員監督というのは、スタッフ集めとかどうするんですか?」

 

野村「私の場合は日芸の映画学科とは違ったので、全部自分で集めたんですけど、自分でカメラを回す人もけっこういて、「個人で集めろ、気合いだ!」的な感じがすごいです。困る人は困っちゃう感じですね。」

 

東「ちなみに卒業されて制作しているということなんですけど、今の状況としてはどういう感じですか?」

 

野村「私も卒業できなかった身なんですけど、今年の3月に卒業できるかなっていう感じで、でも今年一年はほぼ学校に行ってないので、フリーランスで映画を作りながら、ウェブCMとか例えば、老人の徘徊防止のアプリの動画を作ったりとか、MVやったり、twitterであがってるような動画とか、ライブ映像とか、そういうことをしています。」

 

東「最後になりますが、質問とかあればどうでしょうか?」

 


 

野村「主催の皆さんに質問があるんですけど、平成Calling で作品を集めて、平成の作家に共通したところは全作品を通じて、何かありましたか?」

 

宮崎「色々なジャンルがあって、プログラムや座談会をする中で、こういった交流する機会があって、またそれを横断する試みがあって、一連の作品を見た中で、ジャンル関わらず、何か似ている画があるんですよね。『春みたいだ』の主人公が新宿に行く前のカットですね。車窓から見える木のカットとか、ああいうのとかは、僕らみたいな個人映画を作る作家でも、やっぱりそのカットに持たせる雰囲気や意味がどこか似ていると感じました。大内りえ子さんの作品のメタモルフォーゼを意識しているところとかは現代の女性を表しているような、そういうものが他の作品にも見えてくるのではないかなと個人的には思っています。それは野村さんの作品もそうですし、『食べる虫』や『月の音』だったり、女性作家それぞれの目線がどこかで共通しているところが見えてくるんではないかと思って、すごく面白かったです。」

 

片岡「プログラムで1つの作品が終わって、次の作品が全く違うテイストというか、それぞれ個性が強くて、みんなが1つのものに影響されて作るよりは、みんなそれぞれ影響受けたりというのが全くバラバラで、その表現を突き詰めていると気づきました。それぞれの主張の強さがありながら、個性が際立つものとして共通していると感じました。」

 

東「最後に僕からなんですけども、平成ということで、共通している部分があるかというと、僕はそれはあまり感じなかったんです。皆さん学んでいることも違えば、ジャンルも違うということで。最初、宮崎君が言ったようにどこか似ているようなカットがある、というのは主催メンバー全員でも話していたんですけど、全部の作品をどこかで繋げられるぐらいの似ているところが全プログラムを通して見るとあって、そこはすごく面白いなと思いました。」

 

 


 

東「では最後になりますが、皆さん作家ということでして、これからの展望を一人ずつ簡単に話していただきたいと思います。」

 

片岡「就職してそこから作り続けるということで、それはすごく大事なことだと思っているので、今の状況に安定せず、その分作っていかないととは思っています。」

 

野村「映画を撮っていきます。映画をやりたいんです。今、制作を準備中で脚本を書いてるんですけど、公開時期が決まっていて、2019年11月くらいから公開が始まるので、それを頑張っています。「恋愛体質のピュアピュア女 VS 12人の男」の話を90分くらいの作品で考えています。全員の男に騙されるんですけど、女の子1人を支柱として、1つの生命体になる。爆裂的な話をやるのでよろしくお願いします。」

 

さとう「今年の3月にようやく大学を去ることになるので、学部と院を含めて約8年間いたんですけど、超快適な制作環境がなくなるという制作の危機が訪れています。ですが、これからも作品制作自体はしていきたい、上映活動もしていきたい、と思うことはあるので、どうにか頑張っていこうかと思います。3月に札幌で上映会があって、「VIDEOPARTY × EZOFILM 」というのもやります。また京都上映の時にも来ますので、よろしくお願いします。」

 

伊藤「私は変わらず続けていくというのがあって、名古屋の方で制作しているアトリエがある街とかが今、変わってきています。その街でどう展開できるのか、というのをいろんな人の協力を得ながら、とりあえず今年は制作がメインになるのかなと思ってます。最近は京都とか東京が多くなってきているので、少なくなってきているのですが、名古屋で展示をしなければいけないなと思っています。」

 

丹羽「私が去年1年間、上映作品から離れてた理由が映像作品を作っている人としては最低だと思うんですけど、勉強だと思って色んな上映会とかに参加しても、起きれたことが一回もないんですね。見始めてから10分以上の映像とか来たら、もうアウトみたいな状態が続いてて、これってどうなんだろうっていうのをずっと考えていたんです。だけど今回衝撃だったのは全てのプログラムを全部起きれてたという平成calling で、自分の中で歴史的な感じがあって、たぶん本当に面白かったんです。先程、主催の方が「共通点がある」と仰ってたんですけど、すべての作品に自分の中でも共通点が見つかっていて、だから起きれてたのかなと思っていて、なので上映作品を作ることは避けていたんですけど、ただ単に自分事に捉えられなかったという問題があったのかなっていう風に思ったのと、今参加されている皆さんが30代やもっと上になった時に評価してくれている人が増えてくると思うので、たぶんこれから皆さん評価されていくんだろうなと感じたのと同時に、私が上の世代の作家の作品を見て爆睡していたように、下の世代が私たちの作品を見て、そういうことになる可能性があるということに危機を感じていて、平成の生まれということで、次の世代にも響くような作品作りを忘れないようにしていきたいなと思いました。なので今回参加して良かったです。」

 

具志堅「僕の作品は変な作品だと思うんですけど、やっぱり自分でしか作れないということを思って、スタイルを崩さずにやっていこうと思っています。今回は映像作品なんですけど、映像じゃない方が良いと思ったら、映像メディアを辞めるって思うことも大事だと思うので、自分にとって相応しい方法を選択していこうかなと思っています。将来、作品を作っていく予定なんですけど、ありがたいことに年に一回ぐらいとかはお声がけされていて、声がかからなくなったら続けるのかなと自分でも疑問で怠け癖ではないですけどね。自分はいつ作品作りを辞めるのかなっていうのは、大学生終わって、社会人になって、忙しい日々を過ごしていくと、作るペースがものすごく落ちていって、なんとか今は走っていますけど、どうなるのかなとは正直思います。2、3年は体力があるので頑張りたいと思います。」

 

東「皆さん、ありがとうございました。本当に色んなジャンルの作家とこうやって話すことができるというのは、普段はこういう話ができないということがあったと思いますので、非常に有意義だったかなと思います。皆さん、色々と大変ではありますが、作品の制作を続けていかれるということでして、僕を始め、平成Calling 主催のメンバーたちもそれはもちろん同じでして、色々生活は大変だったりしますけど、これからも続けていきたいなと思っています。同時にこの平成calling の名前や形は色々変わるかもしれませんが、こういう機会をどんどん作っていくことは続けていきたいなと思っていますので、そちらの方もまたご参加いただければなぁと思います。また本日、このトークを録音していますので、もし可能であればアーカイブにして残していって、二回三回とできればなぁという風に思っています。先程から作家のあり方や制作の話をしましたが、映画祭に入選する、そこで上映する、またこのような企画に参加するということは意義があることだなと思っています。色々なコンペがありますが、2日前からImage Forum Festival の東アジア・エクスペリメンタル・コンペティションの募集がつい最近始まりまして、もし制作されている方がいましたら、こういうのにも出品していただけたらなと思います。他にもPFFや新千歳国際アニメーション映画祭でもどんどん出して、繋がっていけたらと思います。

ということで以上を持ちまして、平成Callingの座談会を終了させていただきたいなと思います。

ありがとうございました。」

 

2019.2.11